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ロープボール / 原作:川原裕聖 / 作画:波多野秀行 / 発表年:2003 /
/ 掲載雑誌:週刊ビッグコミックスピリッツ /
/ 掲載時期:2003年25〜45号 / 巻数:全2巻 /
【本作品とモグラの出会い】
 この作品は、雑誌スピリッツにとっては暗黒の時代でもある2003年に連載されていたため、モグラも雑誌全体を読み流してしまい、特に注目することはありませんでした。しかし単行本化された後に改めて読んでみると、この作品の真の価値が分かったので、ここに紹介する事にしました。
【作者紹介】
 雑誌スピリッツ主催で行われた第1回ミレミアム大賞の原作部門に川原裕聖先生が応募し、見事大賞を受賞した作品が、この「ロープボール」です。そして、その漫画化にあたり作画を担当したのが、雑誌「まんがタイムラブリー」などで活躍していた波多野秀行先生でした。波多野秀行先生は、当時「しむべそん」の名前で活躍しており、しむべそん先生がこの作品で日の目を浴びたと、ファンは喜んだものでした。
 本作品は ”スポーツ漫画” に分類して良いのだろうか?
 
 21世紀に入り、”スポーツ漫画”というジャンルに 『監督もの』 『審判もの』 などプレイヤー以外に焦点をあてた漫画が登場するようになった。現在の例でいえば、雑誌イブニングで連載中であるプロ野球界のスカウトに焦点をあてた「スカウト誠四郎」という作品が挙げられる。
 
 このように、最近の”スポーツ漫画”はスポーツを行う選手だけに注目するのではなく、様々な視点からスポーツを捉えるという、言わば多視点化の傾向にあるのだが、その中でもとりわけ異色とも言える視点からスポーツを捉えることに挑戦したのが、この作品である。
 
 その視点とは、スポーツメーカーから見たスポーツ、という視点であり、そのためこの作品のプロットは、「中堅スポーツメーカーがシェアを握るために新たなスポーツを開発し、流行にすることで関連商品を独占しよう」というものになっている。このプロットを見て、これを”企業漫画”と分類したとしても、この漫画のように、プロジェクトの趨勢を主題に扱う作品はこれまでに作られておらず、まさに原作部門での大賞にふさわしいと言えよう。
 
 しかし、こういった新しいプロットに挑戦した作品の運命として、この漫画も大風呂敷を広げた割にはラストの盛り上がりや到達点がいまいちだという問題を抱えている。そのため、一般的な評価はその設定の質の高さ故に高く評価する人と、ラストの結論に納得できず低く評価する人に分かれているのが現状である。
 
 そんな中、モグラはやはりこの新しいプロットに挑戦し作品として完成させた、ということを高く評価したいと思う。確かにこのロープボールは、新しいプロットに挑戦し、しかもうまく爆発させる事に成功した「モンスター」(浦沢直樹)や「オールドボーイ」(土屋ガロン、峰岸信明)の打ち上げ花火のような華々しさに比べると、そこに映るのはせいぜいネズミ花火くらいの火花かもしれない。でも、その火花は花火だけあって、十分見応えがあるのではないだろうか?
 
 ”スポーツ漫画”というジャンルの歴史に新たなる一歩を記した作品として、そして今後川原・波多野両氏がどのような活躍をされるのかを期待する作品として、漫画好きとして一家言あるものには一読の価値があることだろう。
文中の漫画データ一覧
タイトル 作者 連載雑誌 巻数 出版社
モンスター 浦沢直樹 ビッグコミック 全18巻 小学館
オールドボーイ 土屋ガロン
峰岸信明
アクション 全8巻 双葉社

注)上記の文章は赤字の部分にカーソルを合わせると簡単な解説が表示されます。